こちら（英語版ウィキペディア）を参照。1985年に公開された英・仏共同製作によるロマンティック・コメディ映画「ザ・フロッグ・プリンス」（ブライアン・ギルバート監督）のサウンドトラック。全部で34分37秒しか収録されていない。私が持っているのは1999年にリイシューされた再発盤である。本映画の音楽の作曲をエンヤが担当している。エンヤ自身によって演奏・歌唱されているのは8曲目の「The Frog Prince」及び9曲目の「Dreams」だけであり、後は歌っていない。また、クルト・ヴァイルの「マック・ザ・ナイフ」や、エディット・ピアフの「Les Flon-Flons du Bal」等のスタンダード・ナンバーも含まれている。英語版ウィキペディアでは、これが「エンヤの最初のアルバム」に位置づけられている。（日本語版ウィキペディアではエンヤの「デビュー以前」の項で触れられている。）エンヤが歌っている2曲は紛う方なきエンヤの声であり、当時まだ24歳頃の若々しい、飾り気のない歌唱を聴くことができる。…これを「あの世界の歌姫、エンヤのアルバム！」などと期待して聴いてしまうと、がっかりすること請け合いなのでご注意を。（アマゾンのレビュー欄でも、「がっかりだ！」というコメントを寄せている海外の方が多い。）「…誰でも下積み時代があるものだ」ということである。なお、もうこの頃から、エンヤ育ての親である音楽プロデューサー、ニッキー・ライアンが関わっている。（ライアンはエンヤの家族で構成されていたケルト音楽バンド、「クラナド」のマネージャーであった。クラナドは2020年現在も活動しているが、エンヤは若い頃にニッキー・ライアンに誘われる形でクラナドを脱退している。）
（★★★★）

1. The Train To Paris
2. The First Day
3. Jazz Club - Mack The Knife
4. Jazz Club - Let It be Me
5. With Jean-Phillippe (CDでは"Jean-Phillipe"表記)
6. Jenny
7. Reflections
8. The Frog Prince
9. Dreams
10. The Kiss
11. Jazz Club - Sweet Georgia Brown
12. Jazz Club - Georgia On My Mind
13. A Kiss By The Fountain
14. Jenny & Roz
15. Les Flon-Flons Du Bal (Édith Piaf) (CDでは"Edith Piaf"表記)
16. Epilogue

　エンヤのソロとしての1stアルバム。ドキュメンタリー番組「The Celts」のサウンドトラック。本アルバムはアイルランドのアルバムチャートで最高8位、イギリスでは最高69位と「小ヒット」にとどまった。1992年に発売された「ザ・ケルツ」は、本アルバムの再編集盤。ワーナー系のWEA MUSIC（WEAとは"Warner-Elektra-Atlantic"の略だが、アトランティックレコードというレーベルは現在も単独で生きている）に移籍したので、移籍先のレーベルでリリースするために少し曲をいじったのだ。異なるのは11曲目の「Portrait」で、本アルバムには1分23秒の短いバージョンが収録されている。そうして「再編集盤」が出ているので、このアルバムとしては勿論廃盤であり、Spotifyにもない。本アルバムを聴いたWEAミュージック・UKの社長が、他のレーベルからも移籍の話が来ていたエンヤに、WEAと契約して欲しいために「予算と時間に制限は設けない！ウチからは何の要求もしないから！とにかく1枚のアルバムとして完璧な作品を作ってくれ！」と依頼し、製作されたのが、エンヤを世界的な歌姫にした「ウォーターマーク」である。（つまり「自らの才覚を世界に問う、一世一代の大勝負」だったのだ。だからあれ程に完成された世界観を持っているのである。）
（★★★★）

1. The Celts
2. Aldebaran
3. I Want Tomorrow
4. March of the Celts
5. Deireadh an Tuath
6. The Sun in the Stream
7. To go Beyond (I)
8. Fairytale
9. Epona
10. Triad: St. Patrick, Cú Chullain, Oisin
11. Portrait
12. Boadicea
13. Bard Dance
14. To go Beyond (II)

　2ndアルバムだが、実質的なデビューアルバムとなる。製作の経緯は「Enya(1986)」の項に書いた通り。「自らの才覚を世に問うために、渾身の力を振り絞って完成させたアルバム」である。Spotifyはこちら。本盤が世界中にエンヤを広めた。イギリスのアルバムチャートで最高5位、アメリカのビルボードで最高25位、ニュージーランドとスイスでは1位になっている。日本のオリコンアルバムチャートでは最高7位。アメリカでは400万枚のセールス（クァドループル・ミリオン）を記録し、全世界で800万枚売れたとされている。7曲目の「オリノコ・フロウ」がシングルカットされ、記録的な大ヒットを飛ばしている。（東京のFM局J-WAVEが1988年10月に開局し、まだ番組構成が完成していなかったとき、この曲が繰り返し繰り返し流されていたことを思い出す。）もちろんこの曲の当時における新しさと今も変わらぬ素晴らしさは全く否定しないが、それはこのアルバムを構成する魅力の「ほんの一部」でしかない。この盤の本当の魅力は、「オリノコ・フロウ」のような「陽」の部分だけではなく、5曲目の「Exile」や8曲目の「Evening Falls...」に代表されるような「陰」の部分が合わさってはじめて発揮される。陰と陽、静と動、魂の沈潜と躍動が渾然一体となって、聴く人間を心の底から癒すのである。「オリノコ・フロウ」しか知らない人は、是非アルバム全体を聴いて欲しい。これほどまでに奇跡的に完成度・感銘度が高いアルバムはそう滅多にあるものではない。なお、本アルバムは1989年、1991年、2009年にリイシューされており、最初の2回のリイシューでは「Storms in Africa (part II)」が追加され、2009年盤（日本でのみリイシュー）には「Morning Glory」が更に追加されている。「Storms in Africa (part II)」はインストゥルメンタル曲に英語の歌詞を追加したものであり、私が持っている「ウォーターマーク」のアルバムは1988年に出た初回国内盤（…しかも大学時代に友人から借りパクしたもの(爆)。…代わりにその友人には、私が貸したヤマハ製のプレシジョンエレキベースを借りパクされている。ベース、6万円くらいしたんだけどなぁ…笑）であるため、この曲が収録されたCDを持っていない。この曲をCDで聴くには、本アルバムの1989年以降のリイシュー盤を買うか、シングルCDを買う必要がある。私はSpotifyで聴いたが、とてもカルいノリになっており、拍子抜けして椅子から転げ落ちそうになった。これでは完全に「歌謡曲」だ。オマケに「ゴロゴロ…」といった雷のSEも追加されており、…こりゃダメだ、と思ってしまった。PartI（編曲前の原曲）の方が100倍いい。
（★★★★★★）

1. Watermark
2. Cursum Perficio
3. On Your Shore
4. Storms in Africa
5. Exile（英語で「放浪」「流浪」「亡命」の意味。アメリカ英語では「エグザイル」、イギリス英語では「エクサイル」と発音に違いがある。）
6. Miss Clare Remembers
7. Orinoco Flow
8. Evening Falls...
9. River
10. The Longships
11. Na Laetha Geal M'óige

　3rdアルバム。Spotifyはこちら。「シェパード・ムーン」とは、日本語ではそのまま「羊飼い衛星」といい、土星などの環を持つ惑星で、その重力により環を構成する氷が散らばってしまうのを防ぐ作用をしている衛星のことである。まるで環を構成する氷が散らばらないように統率しているかのような働きをしているので、「羊飼い」という名前がついた。このアルバム名を思いついたのはニッキー・ライアンで、1980年に発見された土星の衛星「パンドラ」と「プロメテウス」が羊飼い衛星であることから発想し、エンヤも「シェパード・ムーンズ」というロマンティックな語感を気に入ったとのこと。（確かに日本語的にもロマンティックだ。…なお、後にパンドラは羊飼い衛星ではないことが明らかになっている。…しかし土星の環というのは本当に神秘的だ…。オリヴィエ・メシアンも2台のピアノのための作品「アーメンの幻影」で、「星々の、環を持つ惑星のアーメン（Amen des étoiles, de la planète à l'anneau）」という楽章を作曲している。）
　閑話休題。前作に比べると「陽」の部分がかなり比重を増し、明るく優しい曲ばかりになってしまった。どの曲も「エンヤ節」全開といった趣であり、このアルバムを製作したときの彼女の心が、かなり「幸福で満たされていた」ことが窺える。…これはこれで良いのかも知れないが、私としては、どうしても前作「Watermark」の完成度の高さに引きずられて、辛口の評価になってしまう。（世間では本盤の評判は物凄く高いようだが…。前作の大ヒットをうけ、本アルバムはメチャクチャ売れた。全世界で何と「1,300万枚」売れたそうである。）但し、2曲目「カリビアン・ブルー」は、日本でも清涼飲料水（大塚食品「ジャワティー・ストレート」）のCMに使われた程にポップ＆キャッチーであり、やはり名曲と言わざるを得ない。
（★★★☆）

1. Shepherd Moons
2. Caribbean Blue
3. How Can I Keep From Singing?
4. Ebudæ
5. Angeles
6. No Holly For Miss Quinn
7. Book Of Days
8. Evacuee
9. Lothlórien
10. Marble Halls
11. Afer Ventus
12. Smaointe...

　1986年に発表された1stアルバム「ENYA」の再編集盤。Spotifyはこちら。異なるのは11曲目の「Portrait (Out of the Blue)」で、本来の「ENYA」には同じ曲のオリジナルバージョンが収録されている。
（★★★★）

1. The Celts
2. Aldebaran
3. I Want Tomorrow
4. March of the Celts
5. Deireadh an Tuath
6. The Sun in the Stream
7. To go Beyond (I)
8. Fairytale
9. Epona
10. Triad: St. Patrick, Cú Chullain, Oisin
11. Portrait (Out of the Blue)
12. Boadicea
13. Bard Dance
14. To go Beyond (II)

　クリスマス用のミニアルバム。この盤はSpotifyにはないようだ。1曲目は「きよしこの夜」をエンヤのネイティブ言語であるゲール語で歌ったもの。2曲目はアルバム「Watermark」収録の「Exile」をヴォカリーズ（母音唱法）で歌っている。3曲目もゲール語で、過去にシングルCDで発売された曲である。4、5曲目は過去のアルバムからの収録である。…個人的には、2曲めの「Exile」のヴォカリーズが聴いていて「？」だった。…ワールドセールスを狙った、英語を理解できない人々にも聴いてもらえるように、との配慮だろうか。確かにこの曲はメロディだけでも大変素晴らしく、歌詞がヴォカリーズでも「OK」というのも分かるが、今ひとつ「必然性」が分からなかった。
（★★★★）

1. Oíche Chiúin (Silent Night)
2. As Baile (Exile)
3. 's Fagaim mo Bhaile (And I Leave My Home)
4. Ebudæ (from "SHEPHERD MOONS")
5. The Celts (from "THE CELTS")

　4thアルバム。Spotifyはこちら。どの曲も大変キャッチーで美しく、気軽にすっと聴き入ることができる。「Watermark」のような深刻な一面は殆ど覗かせず、アルバムとしての「比重」は前作にもまして軽くなっている印象を受ける。12曲目「Oriel Window」は日本盤のみのボーナストラックであり、インターナショナル盤には収録されていない。（日本は世界中でも特にエンヤの人気が高いらしく、以降もこうしてかなりの「優遇措置」を受けている。）なお、このジャケットデザインは、アメリカの画家マックスフィールド・パリッシュ（Maxfield Parrish）の作品「The Young King of the Black Isles」（千夜一夜物語のエピソードの一つに基づく。こちらのページに詳しい。なお、この絵画は現在はあのアメリカのスーパースター、マドンナが個人的に所有している、と書かれている）をそっくり真似て作られている。なお、この「Black Isles」は、イギリスにある「ブラックアイル半島」とはどうやら無関係のようである。
　なお、「マドンナ」というアーティストは、我々1980年代に中高生だった世代の日本人なら、恐らく誰一人知らない者のいない程の超絶的大スターである。
（★★★★）

1. Memory of Trees
2. Anywhere Is
3. Pax Deorum
4. Athair Ar Neamh
5. From Where I Am
6. China Roses
7. Hope Has a Place
8. Tea-House Moon
9. Once You Had Gold
10. La Soñadora
11. On My Way Home
12. Oriel Window (Extra Track for Japan)

　エンヤ初のベストアルバム。Spotifyはこちら。オリコンチャート最高4位。ベストアルバムと言いつつ、本アルバムで初収録した新曲が2曲含まれている（「Only If...」と「Paint The Sky With Stars」）ので、注意が必要である。amazon.co.jpで「Warner Bros UK」記載の輸入盤を購入したが、届いた盤は「WARNER MUSIC ARGENTINA」とあるので、アルゼンチン盤と思われる。最大のヒット曲である「オリノコ・フロウ」が1曲目なのは妙に安心。2曲目「カリビアン・ブルー」も日本ではCMに使われたこともあり、やはり名曲だ。4曲目「エニウェア・イズ」は一種のマーチ（行進曲）。続く本アルバムでの初収録曲「Only If...」も、歌詞の内容は大変に前向きな内容であり、「辛いこともあるけれど、頑張って乗り越えていこう！」という人生応援ソングである。（エンヤの曲は、ほぼ全てその方向性だと思って間違いない。）
（★★★★☆）

1. Orinoco Flow (from "WATERMARK")
2. Caribbean Blue (from "SHEPHERD MOONS")
3. Book Of Days (from "SHEPHERD MOONS")
4. Anywhere Is (from "THE MEMORY OF TREES")
5. Only If... (new track for this album)
6. The Celts (from "THE CELTS")
7. China Roses (from "THE MEMORY OF TREES")
8. Shepherd Moons (from "SHEPHERD MOONS")
9. Ebudæ (from "SHEPHERD MOONS")
10. Storms In Africa (from "WATERMARK")
11. Watermark (from "WATERMARK")
12. Paint The Sky With Stars (new track for this album)
13. Marble Halls (from "SHEPHERD MOONS")
14. On My Way Home (from "THE MEMORY OF TREES")
15. The Memory Of Trees (from "THE MEMORY OF TREES")
16. Boadicea (from "THE CELTS")

　デビュー10周年(1997年当時)記念盤。アマゾンには「ポップス曲、ピアノ・インスト曲、アイルランド語曲をそれぞれ1枚ずつ収録した3枚組」という説明文があるが、間違っている。（…日本語解説、適当だなぁ…。ちゃんと聴く暇もない人が解説を書いてんだろうなぁ…笑。）3枚目には英語曲も混じっており、英語版ウィキペディアでは3枚目は「slow ballads and more atmospheric tracks」と書かれている。「アトモスフェリック」は日本語には訳しづらいなぁ…。1枚目を「海」（Oceans, Spotifyはこちら）、2枚目を「雲」（Clouds, Spotifyはこちら）、3枚目を「星」（Stars, Spotifyはこちら）と題して、下記のように曲を割り振っている。なお、2枚目「Clouds」9曲目の「Oriel Window」は、日本ではアルバム「メモリー・オブ・トゥリーズ」にボーナストラックとして含まれていたが、海外ではシングルCDのB面での発売しかなく、このボックスがアルバムとしての初収録になる。12曲目の「Willows on the Water」、13曲目の「Morning Glory」もシングルCDのB面であり、アルバムとしては本ボックスで初収録。その後、日本盤の「ウォーターマーク 2009リマスター」盤には、「Morning Glory」が末尾に追加されている。（…まあポップスの世界ではよくあることだが、同じアルバム名のままで収録曲を変える・増やすというのは、出来ればやって欲しくないことである。）更に、3枚目「Stars」の8曲目「Eclipse」もシングルのB面であり、アルバム収録は本ボックスが初である。この曲も、2009年の日本国内限定リマスター盤「The Celts」に追加収録されている。…日本、世界的に見ても結構優遇されてるというか、エンヤの一番の上客が日本ってことなんでしょうね…。
（★★★★）

Vol.1 / OCEANS

1. Orinoco Flow (from "WATERMARK")
2. Caribbean Blue (from "SHEPHERD MOONS")
3. Book Of Days (from "SHEPHERD MOONS")
4. Anywhere Is (from "THE MEMORY OF TREES")
5. Only If... (from "THE BEST OF ENYA")
6. The Celts (from "THE CELTS")
7. Cursum Perficio (from "WATERMARK")
8. I Want Tomorrow (from "THE CELTS")
9. China Roses (from "THE MEMORY OF TREES")
10. Storms In Africa (from "WATERMARK")
11. Pax Deorum (from "THE MEMORY OF TREES")
12. The Longships (from "WATERMARK")
13. Ebudæ (from "SHEPHERD MOONS")
14. On My Way Home (from "THE MEMORY OF TREES")
15. Boadicea (from "THE CELTS")

1. Watermark (from "WATERMARK")
2. Portrait (Out of the Blue) (from "THE CELTS")
3. Miss Clare Remembers (from "WATERMARK")
4. Shepherd Moons (from "SHEPHERD MOONS")
5. March of the Celts (from "THE CELTS")
6. Lothlórien (from "SHEPHERD MOONS")
7. From Where I Am (from "THE MEMORY OF TREES")
8. Afer Ventus (from "SHEPHERD MOONS")
9. Oriel Window (from B-side of the single CD)
10. River (from "WATERMARK")
11. Tea-House Moon (from "THE MEMORY OF TREES")
12. Willows on the Water (from B-side of the single CD)
13. Morning Glory (from B-side of the single CD)
14. No Holly For Miss Quinn (from "SHEPHERD MOONS")
15. The Memory Of Trees (from "THE MEMORY OF TREES")

1. Evening Falls... (from "WATERMARK")
2. Paint The Sky With Stars (from "THE BEST OF ENYA")
3. Angeles (from "SHEPHERD MOONS")
4. Athair Ar Neamh (from "THE MEMORY OF TREES")
5. La Soñadora (from "THE MEMORY OF TREES")
6. Aldebaran (from "THE CELTS")
7. Deireadh an Tuath (from "THE CELTS")
8. Eclipse (from B-side of the single CD)
9. Exile (from "WATERMARK")
10. On Your Shore (from "WATERMARK")
11. Evacuee (from "SHEPHERD MOONS")
12. Marble Halls (from "SHEPHERD MOONS")
13. Hope Has a Place (from "THE MEMORY OF TREES")
14. The Sun in the Stream (from "THE CELTS")
15. Na Laetha Geal M'óige (from "WATERMARK")
16. Smaointe... (from "SHEPHERD MOONS")

　5thアルバム。Spotifyはこちら。前作「メモリー・オブ・トゥリーズ」から5年も経過している。オリコンチャート最高4位。国内盤と輸入盤では収録曲が微妙に違う。一部の輸入盤には「The First Of Autumn」が収録されているが、国内盤等はその代わりに「Isobella」が収録されている。…この「Isobella」が超絶的名曲で、実にエンヤらしい世界観を持っており、これを聴いている間はまるで魂が浮遊しているかのような感覚さえ味わえる。この「Isobella」のような曲こそ、私がエンヤに求めていたものなのだ。…しかしワールドワイド盤には含まれていないので、Spotifyにも含まれていない。…そもそも「コンセプト・アルバム」という考え方（1枚のアルバムを一つの作品と見做し、曲の構成に意味を持たせたアルバム）もあるくらいだし、「国によってアルバムの曲を入れ替える」などということは、アーティストによっては「許し難い」と言う人さえいるだろう。それを許してしまっているのは、割と残念なことである。（…事実、「The First Of Autumn」は、私にはそれ程良い曲とは思えない。）…しかし、本アルバムはほぼ全曲、「これぞエンヤ！」という良作が揃っており、「流石、トータルで5年かけただけのことはある！」という出色の出来になっている。（レコーディングは1998年から2年かけて行っている。）英語版ウィキペディアを読むと、やはり前作までとかなり趣が異なっているため、賛否両論あったと書かれている。しかし本アルバムは何と世界で1,600万枚以上売れたという。…1,600万枚…。恐ろしい数字である。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件（通称9.11）の際に、3曲目の「Only Time」が繰り返しテレビ・ラジオで放送されたことも売れ行きに拍車をかけたと言われている。…私も、このアルバムは「ウォーターマーク」の次に評価したいアルバムだと思う。
（★★★★★）

[国内盤] (Made in Japan)

1. A Day Without Rain
2. Wild Child
3. Only Time
4. Tempus Vernum
5. Deora Ar Mo Chroí
6. Flora's Secret
7. Fallen Embers
8. Silver Inches
9. Pilgrim
10. One By One
11. Isobella
12. Lazy Days

1. A Day Without Rain
2. Wild Child
3. Only Time
4. Tempus Vernum
5. Deora Ar Mo Chroí
6. Flora's Secret
7. Fallen Embers
8. Silver Inches
9. Pilgrim
10. One By One
11. The First Of Autumn
12. Lazy Days

　Spotifyはこちら。竹野内豊、ケリー・チャン主演の映画『冷静と情熱のあいだ』のサウンドトラックとして使用されたエンヤの楽曲をメインにした企画盤である。本アルバムのオリジナル曲が2曲（No.13,14）含まれている。No.13の"Song Of The Sandman (Lullaby)"は"Wild Child"がシングルカットされたときのB面でもあった。…というわけで、このアルバムで初収録された曲はたったの2曲であり、しかもそれぞれ3分40秒、2分31秒しかないのだが、「それでも日本では100万枚以上を売り上げた」と英語版ウィキペディアにはやや皮肉を込めて書かれている。
（★★★☆）

1. Wild Child (from "A DAY WITHOUT RAIN")
2. Caribbean Blue (from "SHEPHERD MOONS")
3. Book Of Days (from "SHEPHERD MOONS")
4. Afer Ventus (from "SHEPHERD MOONS")
5. Watermark (from "WATERMARK")
6. Orinoco Flow (from "WATERMARK")
7. The Celts (from "THE CELTS")
8. Once You Had Gold (from "THE MEMORY OF TREES")
9. Triad: St. Patrick / Cú Chulainn / Oisin (from "THE CELTS")
10. Anywhere Is (from "THE MEMORY OF TREES")
11. Fairytale (from "THE CELTS")
12. Evening Falls... (from "WATERMARK")
13. Song Of The Sandman (Lullaby)
14. The Promise

　映画『ロード・オブ・ザ・リング』（指輪物語）のために作曲された曲を含むミニアルバム。Spotifyはこちら。エンヤは以前から指輪物語のファンであり、楽曲提供のオファーを二つ返事で受けたという。（「シェパード・ムーン」収録の「Lothlórien（ロスロリアン）」とは、指輪物語に登場するエルフの国の名前である。）…かくいう私も、トールキン「指輪物語」には大学時代（1980年代）から魅了されており、学生時代に買った英語版ペーパーバックを今でも大切に持っている。（勿論日本語訳版も持っている。瀬田貞二訳である。…なので、英語をかなり意訳した「ゴクリ」「裂け谷」「つらぬき丸」「馳夫」「いとしいしと」といった語に全く抵抗がない。…これはもうその訳で楽しんでしまった人間なので仕方がない。21世紀の現在、これらの意訳を「なんじゃそりゃ笑」と言うのも分かる。バッハのマタイの演奏スタイルのように、「昔の方が良かった！」などと言うつもりは全くない。）巻末の「中つ国」の地図や、この書籍で初めて触れた「ルーン文字」の解説を夢中になって読んだものだ。（まだインターネットなど存在していない時代である。）「ア・デイ・ウィズアウト・レイン」のSpotifyには含まれなかった「Isobella」が含まれているので是非聴いて欲しい。「The First of Autumn」とどちらがお好みですか？
（★★★★☆）

1. May It Be
2. Isobella (from "A DAY WITHOUT RAIN" Japanese Edition)
3. The First of Autumn (from "A DAY WITHOUT RAIN" Worldwide Edition)

オンリー・タイム - ザ・コレクション（2002）
ONLY TIME - THE COLLECTION
Warner Music Japan / XQCP-36～39 (WPCR-11306～9)

　4枚組ボックスセット。こちら（英語版ウィキペディア）を参照。実質ベストアルバムであり、本ボックスで初めて収録された曲はない。全世界20万セットの限定生産品。私が持っているのは輸入盤に日本語解説をつけた国内盤である。写真の通り、菫色のスウェード加工を施された豪華な装幀になっている。…何かを記念して作られた訳ではないようだ。（…但し、2002年はデビュー15周年に当たる。）…本当に「コレクターズ・アイテムとしての販売」ということだろう。英語のブックレットにも「全世界20万部限定」と書かれているが、シリアルナンバーのようなものはない。また、国内盤にはせっかく日本語解説が付属しているのに、ラテン語やゲール語を用いた歌詞については「ラテン語／ゲール語のため対訳は割愛させていただきます」とあり、国内盤を買う意味はほぼ全くない。（英語版ブックレットも、ラテン語やゲール語の歌詞は書かれているが、英語訳はない。…英語訳が付いていれば、きっと国内盤解説にも対訳を付属させてくれただろう。…いつか、エンヤの曲のラテン語／ゲール語／ロクシャン語歌詞の対訳を作ってみたいものだな…。）4枚目だけはエンハンストCDになっており、BBCで放送された映像を観ることができる。映像ファイルはMOV形式（QuickTime用の動画ファイル）であり、2020年現在のWindows10やMacでも対応ソフト（Windowsの場合はVLCメディアプレイヤー等）があれば観ることができる。
（★★★★）

Disc 1

1. Watermark (from "WATERMARK")
2. Exile (from "WATERMARK")
3. Aldebaran (from "THE CELTS")
4. March of the Celts (from "THE CELTS")
5. Boadicea (from "THE CELTS")
6. The Sun in the Stream (from "THE CELTS")
7. On Your Shore (from "WATERMARK")
8. Cursum Perficio (from "WATERMARK")
9. Storms in Africa (Original Version) (from "WATERMARK")
10. The Celts (from "THE CELTS")
11. Miss Clare Remembers (from "WATERMARK")
12. I Want Tomorrow (from "THE CELTS")

1. Orinoco Flow (from "WATERMARK")
2. Ebudæ (from "SHEPHERD MOONS")
3. River (from "WATERMARK")
4. The Longships (from "WATERMARK")
5. Na Laetha Geal M'óige (from "WATERMARK")
6. Book Of Days (Original Single Version)
7. Shepherd Moons (from "SHEPHERD MOONS")
8. Caribbean Blue (from "SHEPHERD MOONS")
9. Evacuee (from "SHEPHERD MOONS")
10. Evening Falls... (from "WATERMARK")
11. Lothlórien (from "SHEPHERD MOONS")
12. Marble Halls (from "SHEPHERD MOONS")

1. Afer Ventus (from "SHEPHERD MOONS")
2. No Holly For Miss Quinn (from "SHEPHERD MOONS")
3. Memory of Trees (from "THE MEMORY OF TREES")
4. Anywhere Is (from "THE MEMORY OF TREES")
5. Athair Ar Neamh (from "THE MEMORY OF TREES")
6. China Roses (from "THE MEMORY OF TREES")
7. How Can I Keep From Singing? (from "SHEPHERD MOONS")
8. Hope Has a Place (from "THE MEMORY OF TREES")
9. Tea-House Moon (from "THE MEMORY OF TREES")
10. Pax Deorum (from "THE MEMORY OF TREES")
11. Eclipse (from "A BOX OF DREAMS")
12. Isobella (from "A DAY WITHOUT RAIN")

1. Only Time (Original Album Version) (from "A DAY WITHOUT RAIN")
2. A Day Without Rain (from "A DAY WITHOUT RAIN")
3. Song of the Sandman (Lullaby) (from "THE CELTS")
4. Willows on the Water (from "A BOX OF DREAMS")
5. Wild Child (Album Version) (from "A DAY WITHOUT RAIN")
6. Flora's Secret (from "A DAY WITHOUT RAIN")
7. Fallen Embers (from "A DAY WITHOUT RAIN")
8. Tempus Vernum (from "A DAY WITHOUT RAIN")
9. Deora Ar Mo Chroí (from "A DAY WITHOUT RAIN")
10. One By One (from "A DAY WITHOUT RAIN")
11. The First of Autumn (from "A DAY WITHOUT RAIN")
12. Lazy Days (from "A DAY WITHOUT RAIN")
13. May It Be (from "The Lord of the Rings : The Fellowship of the Ring")
14. Oíche Chiúin (Silent Night) (from "THE CHRISTMAS EP")
15. (Enhanced CD) Oíche Chiúin (Silent Night) (video footage from BBC TV performance, MOV format Video Files)

　6thアルバム。Spotifyはこちら。本アルバムからはWEAではなくWarner Musicからの販売となっている。前作の5thアルバムから再度5年の年月が流れている。オリコンチャートで最高2位。日本語の歌詞を持つ「Sumiregusa（菫草）」収録。ゆっくり歌っているので、歌詞を見ながら聴かないと何と言っているのか聴き取れないが、非常に美しい曲だ。ある意味、暗い曲は1曲もなく、個人的にはやや物足りない印象を受ける。（私は「Watermark」のように明るい曲と暗い曲を取り混ぜたアルバム作りを買っているので。）また、本アルバムは初めてゲール語歌唱の曲を1曲も含んでいないフルレングスアルバムとなった。代わりに「Less Than a Pearl」「The River Sings」「Water Shows the Hidden Heart」ではローマ・ライアン（ニッキー・ライアンの妻）が考案した人工言語「ロクシャン語」を使用している。この言語は「地球以外の惑星で話されている言語」という設定である。
（★★★★）

1. Less Than a Pearl
2. Amarantine
3. It's in the Rain
4. If I Could Be Where You Are
5. The River Sings
6. Long Long Journey
7. Sumiregusa
8. Someone Said Goodbye
9. A Moment Lost
10. Drifting
11. Amid the Falling Snow
12. Water Shows the Hidden Heart

　クリスマス向けの新曲を含むミニアルバム。こちら（英語版ウィキペディア）を参照。最初はアメリカ国内限定でNBCユニバーサル及びライノ・レコード向けに作られたカスタム・ミニ・アルバムであった。しかしその後、エンヤの所属レコード会社であるワーナーからも4曲抜粋で出したものが下記の「クリスマス・シークレッツ・EP」である。1曲目「Adeste, Fideles」は賛美歌111番「神の御子は今宵しも」である。3曲目は誰もが知っているクリスマスソングの定番。こんなメジャー曲をエンヤがカバーしたというのは当時はちょっとした驚きであった。
（★★★★）

1. Adeste, Fideles
2. The Magic Of The Night
3. We Wish You A Merry Christmas
4. Christmas Secrets
5. Amid The Falling Snow
6. Oíche Chiúin (Silent Night)

　クリスマス向けの新曲を含むミニアルバム。元は、アメリカのNBC及びライノ・レコード向けに作ったアメリカ国内限定ミニ・アルバム（上記）だったが、エンヤの所属レコード会社であるワーナーが4曲を抜粋して出したのが本アルバムである。また、前年に出たアルバム「アマランタイン」に、本盤を追加して2枚組にしたものが「アマランタイン～プレミアム・ウィンター・エディション～」（Spotifyはこちら）である。…なお、この「クリスマス・シークレッツ」は2019年にもフルアルバムサイズのものが出ている。Spotifyはこちら。内容は2008年の「雪と氷の旋律」をメインに、本EPの曲を追加したもののようだ。
（★★★★）

1. Adeste, Fideles
2. The Magic Of The Night
3. We Wish You A Merry Christmas
4. Christmas Secrets

　7thアルバム。Spotifyはこちら。冬という季節をコンセプトとした、透明度が高く耳に心地よい楽曲で占められている。そのわりには、意外とキレのいい楽曲が多い。バラード的な楽曲もテンポは速めで、自我の底深くまで沈潜するほどの深刻さを持ったものではない。…11曲目、何とエレキギターソロが！エンヤの楽曲でギターソロは意外だった。12曲目は所謂「きよしこの夜」である。エンヤが一番好きな季節は冬だそうで、本アルバムは初めて「冬」をアルバム全体を貫く主題に採り上げた。…5thアルバムが1,600万枚を売り上げたにもかかわらず、本アルバムは全世界で300万枚のセールスにとどまっている。なお、世界のアナログレコード・リバイバルに従い、2017年にヴァイナル（ビニール）が発売されている。また、アマゾン限定盤及びSpotifyには「Miraculum」（奇蹟）が収録されている。
（★★★★）

1. And winter came...
2. Journey of the angels
3. White is in the winter night
4. O come, o come, Emmanuel
5. Trains and winter rains
6. Dreams are more precious
7. Last time by moonlight
8. One toy soldier
9. Stars and midnight blue
10. The spirit of Christmas past
11. My! My! Time flies!
12. Oíche Chiúin (Chorale)

　2回目のベストアルバム。「エンヤ自身が選曲したベストアルバム」との触れ込みだが、DVD付きの初回生産限定盤とスタンダード盤とで収録曲が全く異なる。（国内スタンダード盤は、海外盤に3曲のボーナストラックを追加したもの。）同じジャケットデザインなのに、中身は完全に別物である。こういうことはやめてもらいたい。Spotifyはデラックス・エディションがこちら、スタンダード盤がこちら。（Spotifyは収録曲が国内盤CDと微妙に異なる。）
（★★★★☆）

[初回生産限定盤・CD]　※赤字はスタンダード盤未収録曲

1. Trains and winter rains (from "AND WINTER CAME...")
2. My! My! Time flies! (from "AND WINTER CAME...")
3. Stars and midnight blue (from "AND WINTER CAME...")
4. Amarantine (from "AMARANTINE")
5. Sumiregusa (from "AMARANTINE")
6. The river sings (from "AMARANTINE")
7. If I could be where you are (from "AMARANTINE")
8. Wild Child (from "A DAY WITHOUT RAIN")
9. Only Time (from "A DAY WITHOUT RAIN")
10. Drifting (from "AMARANTINE")
11. Flora's Secret (from "A DAY WITHOUT RAIN")
12. Fallen Embers (from "A DAY WITHOUT RAIN")
13. One By One (from "A DAY WITHOUT RAIN")
14. Pax Deorum (from "THE MEMORY OF TREES")
15. Athair Ar Neamh (from "THE MEMORY OF TREES")
16. Anywhere Is (from "THE MEMORY OF TREES")
17. Orinoco Flow (from "WATERMARK")
18. Watermark (from "WATERMARK")
19. Boadicea (from "THE CELTS")
20. May It Be
21. Caribbean Blue (from "SHEPHERD MOONS")
22. Aníron (I Desire) - Theme for Aragorn & Arwen -

1. Orinoco Flow (from "WATERMARK")
2. Caribbean Blue (from "SHEPHERD MOONS")
3. Only Time (from "A DAY WITHOUT RAIN")
4. The Celts (from "THE CELTS")
5. Amarantine (from "AMARANTINE")
6. Trains and winter rains(from "AND WINTER CAME...")
7. Evening Falls...(from "WATERMARK")
8. Anywhere Is (from "THE MEMORY OF TREES")
9. It's in the rain (from "AMARANTINE")
10. Wild Child (from "A DAY WITHOUT RAIN")
11. Only If... (from "PAINT THE SKY WITH STARS : THE BEST OF ENYA")
12. Storms in Africa (from "WATERMARK")
13. On My Way Home (from "THE MEMORY OF TREES")

1. Orinoco Flow (from "WATERMARK")
2. Aníron (I Desire) - Theme for Aragorn & Arwen -
3. Storms In Africa (from "WATERMARK")
4. Caribbean Blue (from "SHEPHERD MOONS")
5. Book Of Days (from "SHEPHERD MOONS")
6. The Celts (from "THE CELTS")
7. Only Time (from "A DAY WITHOUT RAIN")
8. Wild Child (from "A DAY WITHOUT RAIN")
9. Water shows the hidden heart (from "AMARANTINE")
10. Anywhere Is (from "THE MEMORY OF TREES")
11. Cursum Perficio (from "WATERMARK")
12. Amarantine (from "AMARANTINE")
13. Aldebaran (from "THE CELTS")
14. Trains and winter rains (from "AND WINTER CAME...")
15. Watermark (from "WATERMARK")
16. Boadicea (from "THE CELTS")
17. A Day Without Rain (from "A DAY WITHOUT RAIN")
18. May It Be
19. To go Beyond (II) (from "THE CELTS", Bonus Tracks for Japanese Version)
20. Only If... (from "PAINT THE SKY WITH STARS : THE BEST OF ENYA", Bonus Tracks for Japanese Version)
21. Dreams are more precious (from "AND WINTER CAME...", Bonus Tracks for Japanese Version)

　 8thアルバム。Spotifyは、デラックス盤がこちら。通常盤はないようだ。7年振りの新作。…やはり前作「雪と氷の旋律」のセールスが低調だったため、エンヤは自信をなくし、意識的に音楽から遠ざかっていたとのこと。「ダーク・スカイ・アイランド」とは、「満天の星が見られるような光害のない美しい空のある島」という意味であり、具体的にはイギリスとフランスの間にあるチャンネル諸島のサーク島を指している。…相変わらず明るい曲調ばかりであり、メジャーになった後の「エンヤ節」全開なのは変わらない。歌詞は殆どが「過去の恋人への想い」で占められており（…私などは、2020年12月現在で52歳であり、妻に先立たれて4年以上経った今では、もうそうした「恋愛感情」的なものはかなり薄れた。「枯れた」「飽きた」と言い換えてもいい。…独りがラクだ。「孤独」を友にし、愛せるようになること程、生きていてラクなものはない。それが人生の極意、かも知れない、と最近は思い始めている）、そこに宇宙・自然や神への賛美が織り込まれている。8曲目の「サンクタ・マリア」などは歌詞が「サンクタ・マリア」の繰り返しだけだが、これはいかがなものか…とちょっと思ってしまった。…ヘタをすると「最近のエンヤの曲はどれを聴いても同じ」という極論に達しかねないのは残念だが、もはや「世界の歌姫」という地位を確立して久しいメジャー・アーティストのエンヤとしては、「極端な冒険」は既に視野に入っていなくても致し方ない…というのは、分からないでもない。…しかし多くのメジャー歌手が陥る「メジャーになった盤（エンヤで言えば「ウォーターマーク」）が一番素晴らしい」という「常識」を覆すことができていないのは、少々残念である。
（★★★★）

　通常盤（11曲）とデラックス盤（14曲）あり。私はデラックス盤（国内盤・ソフトパッケージ・3,300円程度）を買った。輸入盤なら2,000円以下でデラックス盤が買えるが、日本語訳が欲しいので輸入盤の倍近い値段の国内盤を選んだ。…英語の歌詞ははっきり言って中学生レベルの平易な英語で書かれており、ちょっと英語が分かる人なら歌詞を見なくても理解できるレベルだろう。（これは世界中をマーケットにしているアーティストの戦略でもあるだろう。）なお、ラテン語の曲やロクシャン語（作詞を担当しているローマ・ライアンが創案した架空の言語）の曲もあるが、恐らく輸入盤（未購入）にも英訳はついているだろうから、あえて国内盤を買う必要はなかったかも知れない。

1. The Humming
2. So I Could Find My Way
3. Even In The Shadows
4. The Forge Of The Angels
5. Echoes In Rain
6. I Could Never Say Goodbye
7. Dark Sky Island
8. Sancta Maria
9. Astra Et Luna
10. The Loxian Gate
11. Diamonds On The Water

12. Solace
13. Pale Grass Blue
14. Remember Your Smile